[2003年07月01日 03:46]
長文
森博嗣氏『夏のレプリカ』読み終わりました。昨日の献血の待ち時間とかでガーっと。
これは前作『幻惑の死と使途』と同時進行で起こった事件の話で
前作が奇数章しかないのに対しこちらは偶数章しかありません。
萌絵は『幻惑〜』の方の事件に夢中だったので、いつもとは違う視点で話は進みます。
とは言ってもやはり最後は萌絵が謎解きするわけなんですが
なんか今回悲しかったです。犯人に気づくくだりが。
自分にとって一番大切な事のために何かを捨てられる強さ
それが殺人という形で現れてしまってはいるんですが、
物事をあやふやにやり過ごしてるというか、何も捨てられず、
そして大切なものが何なのか分からなくなってしまってる私には、
何とも言い難い、焦燥というか、そういったものを感じたのでした。
まあ、捨てることが強さだとは一概に言えないとは思いますが。
『捨てる』という積極的な意志でなくても、これまでの人生の岐路において
現在に至る道を選択したということは、その他の道を捨てたということで、
それは自分にとって大切なものを守るためだったはずだとは思うんだけど。
でも、なんとなくもやもやした思いが残ったりもする。悔恨の情?
捨てられなかったものは、守りたかったものよりも実は大切なのかもしれない。
だから、この道で間違ってないと思うんだけど。
自分が自分らしく、ありたいと思う自分でいられると思って選んだはずだけど。
こんな風にウダウダ思いを巡らせるのは望んだ姿ではないんだけど。
でも。なんとなく。神様に悔やめと言われてるような、そんな気がする。
以上、眠れない夜のもの思いでした。