世界を平和にしたいな♪2012年2月の日記(feelDiary by useWill.com)
世界の平和を願いつつも、家庭の平和だけで手いっぱいの介護福祉士、ちゃん が綴る、家事と育児と仕事にまみれる日々

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[2012年2月3日 8:5]
家族分離高齢者虐待のケース。

介護者である嫁さんからの虐待。

お婆さんは、重度の認知症。

家族は、それが理解できず。

緊急保護的に施設のショートステイ利用になり、

行政機関も含め、もう自宅へは戻れないと判断。

現在、今後の生活の場を検討中です。

昨日は医療機関受診の援助をしました。

気の良いお婆さんは、楽しそうにドライブを満喫していましたが、

背景にあるのは、

40年間に渡る、嫁姑の深い闇。

根の深い確執と、

力関係の逆転。

ここに至るまでの経緯を、

知れば知るほど、

どちらもが、被害者であり、加害者でもある。

家族を分離させることが、

良いことか悪いことか。

誰もジャッジなんてできない。

ただ、それを問うている

猶予はない。

[2012年2月4日 2:25]
自由夕方、施設からひとりで外出したお爺さんが、

数時間経っても帰ってこないため、

夜の繁華街へ、捜索に出ました。

なるほど。。。

あらためて見回す夜の街は、

きらびやかで、怪しげで、魅惑的でした。

明るいお日さまの下ではなく、

ヘルパーや、施設職員同伴ではなく、

ネオンの中をひとりでさまよう楽しさを享受したかったのでしょう。

疲れきって、倒れそうになりながら、フラフラと道に迷っている後ろ姿から、

「迷子になる権利」を行使する強い意思を感じとりました。

僕ら施設職員は、彼らのそんな当たり前の権利を、

安全の名の下に、

簡単に奪っているのかもしれません。

「自由って一体なんだい?」

尾崎豊の言葉を思い出します。

[2012年2月4日 22:25]
お礼奉公中1の娘が通う中学の授業参観に行ってきました。

教室の廊下一面に、「将来自分が就きたい職業」が紹介されていました。

A3画用紙に色とりどりに紹介されている仕事の数々は、

ウェブデザイナー

トリマー

サッカー選手

歌手

ダンサー

シンガーソングライター

獣医

イラストレーター

理学療法士

等々、

廊下いっぱいに、子供たちの夢が広がっていました。

教室の中で、百人一首に興じる子供たちの歓声に後ろ髪を引かれながら、

職場に向かいました。

今日は、96歳のお婆さんの、施設間移動をお手伝いしたのですが。

そのお婆さんの話もまた、なんとも言えないものでした。

「私は、小学校を卒業すると製糸工場に奉公に出てね。
毎日、住み込みで一生懸命働きましたよ。
朝と昼は、ご飯とみそ汁と菜っ葉なんだけど、夕飯には、お魚が一切れ付いてくるんだ。
うれしかったよ。
え?
楽しかったか?
楽しいとか楽しくないとか、そんなんじゃなくて、それが当たり前だったんだよ。
4年の年季があけると、一年のお礼奉公があってね。
それが終わると、家にかえれるんだ。
え?
お給料?
お礼奉公は、雇ってもらったお礼ですから、給料が出るわけないじゃない!」
え?
おかしくないですよ。
あの頃は、それが当たり前だったんだから。」

女工哀史

言葉は知っていましたが。

生々しく本人から語られると、さすがに重いです。

きらきらした夢を描いている今の中学生と、

同じ年齢で、奉公に出されたかつての女工さん。

時空をまたいで、その姿が脳裏に重なります。

[2012年2月6日 21:46]
約束金曜日の夜、行方不明になり、

夜の盛り場で発見したお爺さんは、

日曜日の朝に、廊下でブッ倒れて、

月曜の朝、僕が出勤した時点で、

すでに、この世の人ではありませんでした。


腹部大動脈瘤破裂。


見事な人生の幕引きです。

あの夜、自分に起こる何かを予感し、

どうしても呑まずにはいられなかったのでしょう。


盛り場で拾ったタクシーに、

お爺さんを押し込み、

施設に送り届け、最後に交わした会話。

「じゃぁ、またね!」

「あぁ、またね。」

それは、僕が死ぬまで果たせない、

先の長〜い約束になってしまいました。

[2012年2月11日 0:25]
法定後見昨年末。

山と積まれたゴミに埋もれた自宅の中で倒れ、

脱水と栄養失調の状態で発見された、その社長さんが、

淡々と語ります。

「いや、最初あの人は、ウチのビルの掃除をしてもらうために雇ったんですけどね。

今はウチの会社の役員になってるらしいんですよ。

不思議なんですけどね。

あれは・・・いつのことだったかな?

私の妻が亡くなった時に、私以外の役員が必要だからと言われて、そんな手続きがあったらしいんですが、良くわからないんですよ。

記憶が定かじゃなくて。

会社のほうは、彼にお任せするしかないですよね。

私ももう歳なもんで。

あれ、いくつだっけな?

はちじゅう・・・さん・・・かな・・・よんかな?」


淡々と、本当に淡々と。

天気の話でもするように、そのお爺さんは語りますが、

その内容は、まるでテレビドラマのような、ショッキングな内容でした。

今日は、そのお爺さんと一緒に精神科を受診し、

法定後見申し立てのための「診断書」を作ってもらいました。

「あなたは後見が必要なほどの認知症です。」

というツライ内容の、この診断書が、

このお爺さんの財産と権利を守る第一歩です。

これを根拠に、

これから、

裁判所が、この状況に相応しい後見人を選んでくれることになります。

きっと聡明な法律家が現れ、この難局を救ってくれるでしょう。

できたての、宝物のような診断書を手に、ホッと胸をなでおろしている僕を眺めながら、お爺さんがつぶやきます。

「ところで、あなたは不動産会社の方でしたっけ?」

まぁ、それでも良いか。

あなたが幸せになってくれるなら。。。

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